私のバレエ人生はずっと、怪我を克服しながら踊り、舞台に立ち続ける年月でした。体力をとても消耗するので食事には気を使い、ヘルニアが悪化していた31歳ごろから43歳の引退まで、消化に負担がかかるお肉などは全く口にしませんでした。体を冷やす食材も避けていましたし、とにかく冷えは筋肉が固くなるので細心の注意を払い、真夏でもクーラーはつけず窓を締め切って眠ってましたね。

そんな日々を自分に課していたから、長く踊れたのだと思いますし、50代になった今もコンディションの保ち方を体がなんとなく記憶しています。また筋肉は年齢に関係なく、動かせばそれに見合った変化をしますよ。ごく普通の暮らしの中でも、運動によって筋肉が保たれ脳も刺激されるようです。大切なのは「億劫だな」というスパイラルにはまらないことです。 

新型コロナの影響もあって、私たちは外に出る機会をかなり奪われてしまい、内向きな気持ちになりがちです。でもこういう時だからこそ、40代、50代の今できることをやり続けたらと思います。この空気の中で立ち止まってしまったら、いつのまにか時代から置き去りにされる。例えば、社会の中でコンピューター利用がさらに増大することがわかっているのに、苦手意識から見て見ぬふりをしていると、世の中の環境に追いつかなくなる日が来ると思います。私自身も自分で前を向いて動かなくてはと危機感を感じている一人です。コロナという雲にすっかり覆われて前が見えないけれど、自分が社会でやり残したことや、若い世代に残してあげたい何かを見つけてもいい。

「ていねいに生きる」って、意識を持って一生懸命に進むことではないかしら。
草刈民代