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年齢に関係なく、輝き続ける女性は、好奇心をもって毎日を楽しんでいます。
経験が生み出す魅力を放っている女性にインタビューするこの連載の3回目は
娘の美木ちがやさんの、ファッションへのこだわりや思いを伺いました。
「装うことは、生きる原動力、健康の源にもなると、私は確信しています。体型や顔立ちが、かつてのようではなくなったとしても、その代わりに、大人の女性はたくさんの経験をもっていて、自分の個性をたくさん知っているはずです。
年齢に伴って体型や髪の色つや、顔立ちは変わります。環境の変化もあるでしょう。以前着ていたものが似合わない、何を着たらいいかわからなくなったというお話をよく伺います。私自身ももちろん、そんなふうに自信を失った経験がありました。30代後半から40代はそれまで自信を持ってきていた服が全く冴えなく見えて、おしゃれをする気にならなくなったことさえありました。
けれど実はそんなときこそ、おしゃれを更新させるチャンスなのです。そのためには、たくさんトライすることが必要です。今まで着たことがなかったタイプの服をトライしてみる、似合わなくなった服と一度距離を置く、全身鏡でこまめにチェックする、ときには写真や動画を撮ってみるのもいいでしょう。そして気になったことはそのままにせず、髪の手入れをしたり、運動でボディラインをケアしたりして、好奇心を持ってチャレンジしていくことです。人と比べることなく、自分を大切に扱いながら、失敗しても何度でもやり直してみること。それを繰り返していれば、いくつになっても新しい自分を見つけることができます。白髪もソフトなレフ板のように、年齢とともにできたシワやくすみさえも包み込んでくれる宝物。そんなポジティブな発見ができるのもおしゃれの力です」
「人と会うときには、その日のあらゆる背景を想像して選びます。自分自身の装いの場合もそうですが、お客さまのスタイリングをさせていただく際にはそれ以上に、その方が訪れる場所にその方自身がフィットすることを大切に考えます。そのために、どんな場所か、インテリアの雰囲気、照明など、事前にわかる情報をできるだけ伺ったうえで、その方のマインドに合ったスタイリングを提案します。特にパーティや結婚式などのお呼ばれでは、招かれた人一人ひとりがパーティを作っている大切な存在ですから、ふさわしい装いとヘアメイクでその場の魅力を高めることができたら、何よりの祝福の表現になるのではないでしょうか」
「私がおしゃれを考えるうえでもうひとつ大切にしているのは、ブランドやデザイナーのメッセージです。お客さまのスタイリングをする際には、デザイナーのその思いを、私ならどんなふうにお客さまの装いに落とし込めるだろうか、と考えます。服は時代を映します。文化、人種、女性のあり方、今であればコロナや戦争。何に違和感を感じ、どこに共感するのか。そうやって服を通してデザイナーの思いを届けようとするとき、私自身の生きている意味合いともリンクしてくるような気がします。そう思うのは、若い頃から母・サチコさんのオートクチュールの仕事に同行し、仮縫いやモデル選びなど、もの作りの現場をずっと見てきたからかもしれません」
ともにトータルビューティークリエイターとして、おふたりでトータルビューティサロン「KAWABELAB」を主宰。
公式サイト:https://www.sachikokawabe.com/
公式Instagram:@kawabelab
川邉サチコ
1938年東京生まれ。パリのメイクアップスクールで学び、ヨーロッパのオートクチュールコレクションでヘア・メイクを担当。現在は娘の美木ちがやさんとヘアメイク、ファッションのトータルビューティサロンKAWABELABを主催。
Instagram:@sachiko_kawabe
美木ちがや
トータルビューティデザイナー
1963年生まれ。ヘアメイク・ファッションスタイリングを提案。ジュエリー、ファッション、コスメなどの商品開発の他フォトグラファーなどマルチに活躍。
Instagram:@chigaya_miki
Photo TOMOKO MEGURO
Text YURICO YOSHINO